嗚呼、素晴らしき哉、入院生活

ある一人の男の入院生活記 my biography→twitter:milesonts1958

Protecting group can't be deprotected ?

新学生証を交付されてから一ヶ月も経たないのに、磁気をめちゃくちゃにして既にNMR室の前で二回も足止めくらっています。

どうも、maTTunです。

多分、攪拌子取る様の磁石のせいだと思う・・・・・・学習能力皆無・・・

 

さてさて、早速二週間少し空いてしまいましたが色々とありました。

X線構造解析の講習会に参加したり、報告会までにデータ揃えるためにあれこれバタバタしたり、健康診断引っかかったり・・・・・・

いきなり保健センターから内線に電話があって

 

 

保「保健センターです。maTTunさんはいらっしゃいますか?」

m「はい。僕がmaTTunですけども、何か?」

保「あぁ、よかった。早くお知らせしたくて、年度始めの健康診断しましたよね?」

m「はい。」

保「胸部X線で影があったみたいなんですよー」

m「え・・・え・・・・・・本・・・当ですか?」

保「ええ。で、直ぐにでも精密検査して欲しくてー」

m「・・・・・・はい。」

保「肺だけにはいwwwああ、すみません。とりあえず、こちらに来てください。紹介状とX線の写真渡すので」(本当に言ってた。ぜったいにゆるさない!ぜったいにだ!)

m「はい。今日は忙しいので明日紹介状頂きに向かいますのでよろしくお願いします。」

 

とまぁ、こんな感じで今日の報告会は自分の発表が終わって直ぐに家の近くの病院に駆け込んで普通のX線とCT撮ったわけです。

幸い、昔の炎症のあとがたまたま写ってしまったみたいですね。確か小さい頃、マイコプラズマに感染したのでそれかと。

まぁ、安心できてよかったです。これで、また元気に実験できます。

 

近況はさておいて、後輩が持ち上げの手伝いでパラタン(Pd/C)でCbz(アミノ基の保護)の脱保護があんましうまくいかないと、ちらっと聞いたので保護機の話でも軽く。

 

見てくれている方なんかは化学系の方が多いと思うので、説明する必要がないかもしれませんが、見てくれている化学系以外の方向けに書きます。

有機化合物を合成する際、特にどんどん大きくなってくると、「ここは反応させて何かくっつけたいけど、ここも同じような形してるから反応しちゃうなぁ・・・いやだなぁ・・・」なんてことは日常茶飯事です。

そういう時、反応して欲しくないところを守ってあげるものをくっつけるんですけども、これを保護基といいます。

うちのラボは全合成のバリバリ合成してるぜ!なんて所ではなく機能性分子(役に立つ)の開発であまりバリバリな合成をしている訳では、有機分子を扱っているので上記の問題は避けられません。

そして、この保護基。結局外して合成達成、あるいはそこをまた別の反応をさせるために外せるものでなければなりません。

攻撃(反応)に耐えて護衛対象(官能基)を守り、役目が済んだらささっと消える。

そんな頼もしい用心棒的なヤツが保護基です。

 

しかし、そんな彼らもいざ付けたは良いが全然外れない。なんてことも多々あります。

特に全合成においては構造が大きくなって立体的に混み合ってくると外れにくくなり、あと脱保護をするだけで合成が達成するのに外れない・・・→別ルート変更。

ということは、よく見かけます。

 

僕の知り合いでも、保護機が外れないために出発物質そのものから見直した例も聞いております・・・

先の後輩君は、原因は僕も究明中ですが、おそらく精製の手技的な問題だと思います。(がんばれ!)

 

僕も、去年の夏頃は何故かNs基(のしるき。福山アミン合成に使う。外すときチオールの選択如何で白衣が臭くなる。)の脱保護がうまくいかず、色々と条件検討をしたのを思い出します。

先輩が行った時はすごくうまくいけば九割、同じようにやってもたまに何故か三割と、再現性がとれなかったんですが、僕はずっと三割近くでいろいろやっているうちに、チオールと塩基の加え方を工夫することで収率が安定することを見つけて、なんとか次のステップに漕ぎ着けることができました。

 

「どうやってはずし方をいろいろ変えるの?」という方もいらっしゃるかと存じますが、蛇の道は蛇。Greene先生の書いた「Protecting group」というバイブルがあります。非常にお世話になってます。

延々と保護基のつけ方、外し方が書いてあるのでそれを見たり、変えたりいろいろしてます。

 

かの有名な有機化学美術館・分館の佐藤先生はこんな怖い小話を載せていらっしゃいます。

http://blog.livedoor.jp/route408/archives/51742260.html

真偽のほどは定かではありませんが、起こりうることではあります。(本当に怖い・・・)

 

 

逆に保護基が付かないなんてこともあるようです。

今の僕がそうです。はい。題名は「Protecting group can't be deprotected ?」となってますが、「Protecting group can't be protected.」ですね。ハハ・・・ワロエナイ・・・・・・